研究課題
ヒト上皮増殖因子チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)は非小細胞肺がん(NSCLC)に対する優れた治療薬であるが、効果が不十分な症例も多い。抗PD-L1(またはPD-1)およびCTLA-4抗体による抗腫瘍免疫の活性化は、EGFR-TKIと併用することによって相乗効果を示す。しかしながら抗腫瘍免疫によるEGFR-TKI作用の補完については、ほとんど解析が進んでいない。本課題では、EGFRシグナルが誘導する「免疫制御因子」の捕捉を目指す。本年度は、マウス肺癌細胞株LLCを用いて免疫チェックポイント分子の解析を行った。FACS解析の結果、LAG-3, B7-H3は陰性であったがPD-L1のみが陽性であった。そこで、CRISPR/Cas9法を用いてPD-L1の遺伝子ノックアウトを試みた。ウエスタンブロット法およびFACS法による解析を行い、PD-L1欠損細株を3クローン樹立すること成功した。これら細胞株をSyngeneic系統であるC57/B6系統マウスに皮下移植し腫瘍の増大を観察中である。一方、野生型LLC細胞を同一系統マウスに皮下移植し形成される腫瘍を摘出し、単一細胞化処理を施した後でFACS解析した。MDSCおよび好中球の浸潤が認められたが、CD8陽性T細胞およびTregの浸潤は陰性であった。LLC細胞はNeoantigenが少なく免疫サーベイランスを受けにくい腫瘍を形成するものと考えられた。したがって、LLCにOvaペプチドを発現させるなどの方法で改変するとともに、他のマウス肺癌細胞株についても解析を加える必要があると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
おおむね当初計画通りの進捗状況である。
計画通り進める。
研究解析の一部が次年度に多くなったため
繰越しにより予定通り使用する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (2件)
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