膵β細胞からのインスリン分泌にはブドウ糖濃度の上昇が重要で、ブドウ糖代謝がKATPチャネルを閉鎖することでインスリン分泌が惹起されると考えられていたが、本研究ではそれ以外の機序として、TRPM2蛋白(チャネル)が関与していることを見出している。TRPM2チャネル開口にはブドウ糖代謝も重要であるが、GLP-1という腸管ホルモンによっても開口し、インスリン分泌をさらに増強する。これらの機序は新しく、特に健常者でのインスリン分泌機構にはTRPM2の方がより重要であることを示唆している。KATPチャネルによる従来の分泌機序に対して、修正が必要であることを提案するインパクトのある研究である。
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