マウスES細胞をBMP4存在下で浮遊培養すると、神経細胞への分化は抑制されるが表皮への分化誘導は見られない。しかし、ES細胞塊をファイブロネクチン上で接着培養すると、高い効率で表皮幹細胞へ分化した。BMP4存在下で接着培養したES細胞の遺伝子発現を網羅的手法で解析すると、メタロプロテアーゼADAMTS-2が同定された。ADAMTS-2の発現開始時期は表皮幹細胞マーカーよりも先行しており、表皮への運命決定における新規機能が示唆される。ヒト表皮発生の分子機序を明らかにするためマウスES細胞で確立した分化法のヒトES細胞への応用を試みたが表皮への分化はみられず、異なるメカニズムの可能性が示唆された。
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