研究課題
本研究では,免疫細胞と放射線増感剤併用における細胞放射線感受性および低酸素細胞への放射線増感特性について評価し,臨床応用が可能な免疫放射線増感剤の創出ならびに時間放射線生物学モデルに基づく線量評価と治療計画最適化の構築を進めている.今年度は,最終年度としてこれまでの知見を統合的にまとめ,実際の臨床応用に向けた検討を行うことを目標とし,時間生物学的な特性の評価とともに計算モデルの構築を行った.基礎実験では,腫瘍細胞に免疫細胞の添加をした際の共培養条件および増感剤(酸化チタンナノ粒子:p25)の紫外光による殺腫瘍効果について検討した.また,時間放射線生物学的モデルによる計算シミュレーションでは,放射線治療装置の物理特性および生物学的応答因子を考慮し,IMRT治療計画における線量分割,照射スケジュール,線量不均一性,細胞不均質性に伴うTCP/NTCPの変化から治療効果予測に関する詳細な考察を行った.今年度は,前年度に引き続きエックス線に対する増感剤併用時の免疫細胞応答や機序解明を行い,臨床治療計画における生物学的パラメータの詳細な影響因子と組み合わせた検討を行った.免疫細胞との共培養条件の最適化に関する検討の結果,コロニーアッセイ法では解決策を見いだすことが困難であることが明らかとなった.解決法として蛍光標識もしくはラジオイムノアッセイ法が考えられた.計算シミュレーションによる治療効果予測解析では,臨床治療計画を利用して種々の生物学的パラメータに対するTCP/NTCP応答を網羅的に探索し,分子標的型の放射線治療計画の実現性を明らかにすることができた.一方で,既存のLQモデルの限界も明らかとなった.
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
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