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2016 年度 実施状況報告書

膵腫瘍に対する凍結融解壊死療法の臨床応用に向けた基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K10196
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

北郷 実  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70296599)

研究分担者 板野 理  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (90265827)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード凍結融解壊死療法 / 膵臓 / 大動物(ブタ)
研究実績の概要

本研究は、膵腫瘍(癌)に対する難易度の高い侵襲的で術後合併症の多い膵臓手術に代わる、局所根治性が高く、低侵襲性かつ機能温存も兼ね揃えた治療法を確立することである。Cryoablation(凍結融解壊死療法)はアルゴンガスによる急速な凍結とヘリウムガスによる急速な融解といった一連の温度変化で腫瘍細胞を凍結融解壊死に陥らせる療法であり、我々は肝腫瘍・肺腫瘍に対し、Cryoablationを実臨床で行ってきた。Cryoablationがいまだ研究段階である膵腫瘍に目を向け、その安全性と有効性を検討し、臨床応用に向けた基礎的エビデンスの創出を目指すことにあり、本研究機関に以下の点を検討する。①ブタの膵臓にCryoablationを行い、膵臓の穿刺部位からの距離による温度変化を測定し、凍結融解壊死後の影響を組織学的に評価する。②ブタの膵臓にCryoablationを行い、手術の安全性として術後の膵炎・出血など合併症の発生頻度を評価する。膵炎に関しては術後の血清AMY、lipase、CRP値などで評価する。③Cryoablation後に一定期間観察飼育した後再度手術を行い、凍結融解壊死領域や膵周囲の胆管・大動脈(門脈や上腸間膜動脈)や膵管への影響を肉眼的、病理組織学的に評価する。④最終的には共同研究している農業生物資源研究所の免疫不全ブタ2)に膵癌細胞を膵臓に移植したヒト化ブタにCryoablationを行い、腫瘍への影響と効果を評価する。Cryoablationはすでに肝・肺・骨軟部腫瘍に対して臨床応用されている治療であるが、膵腫瘍領域にはまだ行われていない。大動物のブタで安全性と有効性が示されれば、肝腫瘍同様、膵腫瘍にも『新しい局所根治性が高い低侵襲治療法』として治療の選択肢が広がる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2頭のブタを用いて全身麻酔に開腹手術を行った。2.4mm cryoprobeを膵臓に刺入し、probeをアルゴンガスによるcryoablation systemを用いて-160℃~-140℃に冷却した。ブタ1頭につき2か所以上の膵にcryoablationを実施し、各部位で冷却(3分~10分)及び加温は2サイクルずつ行い、生じたiceballの径を計測した。1例では温度センサーをprobe周囲に放射状に配した装置を用いてcryoablation中の組織の温度変化を測定した。すべてのブタは手技終了後に速やかにsacrificeされ、膵臓の組織学的評価を行った。実験を行った5部位(頭部2、体部1、尾部2)全てで、開腹ともcryoablation手技は実施可能であった。生じたiceballの径は凍結時間が長かった部位、凍結の設定温度の低い部位で大きかった。組織の温度計測実験では、cryoablation中の組織おんどはprobeからの距離に比例して上昇することが示され、また1サイクル目に比して2サイクル目で凍結領域が広がることが裏付けられた。組織学的評価では、cryoablationによって膵正常組織が壊死に陥っていること、壊死の程度は中心部で最も高度であり辺縁部では一部不完全であることが示され、組織の温度計測実験で得た知見に対応する結果であった。

今後の研究の推進方策

Cryoablationの条件設定が決定したので、ブタの膵臓をcryoablationした後、ブタの術後出血・多臓器損傷など臨床的評価を行う。また、術前・術後1・3・5・7・14日目に採血を行い、血清中のAMY、Lipase、CRP値や炎症サイトカインを測定し術後膵炎を評価する。Cryoablation後の膵臓と膵臓周囲臓器を摘出して組織学的評価を行う。また、治療域周囲の膵管への影響と膵組織周囲の胆管・大血管(門脈・動脈)・脾門部への影響を評価し、臨床的有用性を検討する。

次年度使用額が生じた理由

最終請求額が予算内に収まるようにした。

次年度使用額の使用計画

4月からの実験を再開したので、実験にかかるブタ飼育費などの使用する予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] The experimental study for procedural availability of cryoablation of pancreas in vivo using porcines2016

    • 著者名/発表者名
      今井俊一
    • 学会等名
      第28回日本肝胆膵外科学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-06-02 – 2016-06-04

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公開日: 2018-01-16  

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