ヒトiPS細胞を利用した再生医療の実現に際し、安全性担保、特に腫瘍形成回避が必要条件となる。本研究ではiPS細胞由来未分化細胞除去を目的とした。まずヒトiPS細胞を対象にEpigenetic修飾薬であるBET阻害剤(JQ1)を添加したところ、同剤が強力なNanog阻害剤として作用することを確認した。次にヒトiPS由来心筋細胞をin vitroで同Nanog阻害剤処理したところ、残存未分化細胞が効率的に除去された。さらにCDK阻害剤 (CDK9 or CDK1阻害剤)がBET阻害剤と共に相乗効果を呈することを見出した。今後“ヒトiPS細胞”を対象とした分子標的治療薬としての可能性が示唆された。
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