本研究では滑膜肉腫が免疫監視機構をすり抜けて肺転移を成立させるメカニズムについて解析を行った。その結果、滑膜肉腫細胞に発現するMICA/BはTwist1の発現、低酸素環境、浮遊培養環境により発現低下し、これによりNK細胞による監視網をくぐり抜けていると考えられた。また、MICA/Bのタンパク質安定化にはN型糖鎖修飾が重要であり、MICA/Bの発現が消失している細胞株ではN型糖鎖修飾に重要な糖転移酵素の発現を伴っていた。滑膜肉腫はMICA/Bの発現を抑制する複数のメカニズムを併用してNK細胞による監視網を欺き転移を成立させていると推測された。
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