研究課題
1)ファーマコゲノミクスを用いた分子標的薬の薬物動態・薬力学的研究:転移性腎細胞癌に対しスニチニブ(SU)およびアキシチニブ(AXT)を患者34例のうち両薬剤の血中濃度測定を行ない、かつ遺伝子多型を解析した13例を対象とした。遺伝子多型は、SLCO1B1、SLCO1B3、SLCO2B1、ABCB1、ABCG2、CYP2C19、CYP3A5およびUGT1A1についてPCR法で解析した。その結果SUとAXTのトラフ濃度には弱い相関を(R2=0.284、p=0.061)、両者のAUCには強い相関を(R2=0.526、p=0.008)認めた。SUおよびAXTそれぞれのAUCが中央値以上であることを同時に満たす4例において、ABCB1 3435C>TでC/Cの頻度が有意に高かった(p<0.001)。以上から、逐次療法においてSUとAXTの薬剤間の血中濃度には有意な相関が認められ、一方の薬剤血中濃度が高値の患者は他方のも高値となる可能性が示唆された。2)トランスクリプトミクス解析による治療効果予測マーカーの探索研究:AXTの投与前後の血清を採取できた転移性腎癌44例を対象とした。AXT投与前と投与開始4週後の血管新生や細胞増殖に関わる34種類の血清サイトカイン濃度の測定を行った。その結果、血清Plasminogen activator inhibitor 1(PAI-1)濃度が投与開始4週後に投与前より低下した群で、有意にPFSおよびOSが延長した(15.0か月vs5.1か月:p=0.027、35.0か月vs14.2か月:p=0.026)。多変量解析では、血清PAI-1濃度の治療前後での変化は独立したPFSおよびOSの予測因子であった(p=0.015、p=0.032)。血清中のPAI-1濃度の治療初期での変化がAXTの治療効果を予測するバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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