研究課題/領域番号 |
15K10710
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
岡 賢二 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (40345749)
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研究分担者 |
塩沢 丹里 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20235493)
山田 靖 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (60646652)
宮本 強 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (70418721)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 卵巣子宮内膜症性嚢胞 / 卵巣癌 / ミスマッチ修復異常 / 炎症性サイトカイン / 鉄イオン / 子宮内膜癌 / マイクロサテライト不安定性 |
研究実績の概要 |
ミスマッチ修復(MMR)異常ではDNA複製時のエラーを修復の障害から遺伝子変異頻度が上昇し、変異の蓄積から癌化が起こりやすくなるとされる。我々はこれまでにMMR異常の指標であるマイクロサテライト不安定性(MSI)の陽性率が、正所性子宮内膜 < 卵巣子宮内膜症 < 内膜症に関連した卵巣癌 と病変の進行に従って有意に高頻度であることを見出した。このことから内膜症癌化過程へのMMR異常の関与が考えられ、本研究で検討する。 これまでにMSIと臨床病理学的背景の比較では、MSI陽性症例で白血球数とCRP値が有意に高く、MMR蛋白発現は有意に低値であった。正常子宮内膜腺上皮細胞を炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)存在下で長期培養し、MMRタンパク発現の変化を検討したところ、抑制が観察された。 子宮内膜症性嚢胞内(OEM)には多量のTNFαやIL-6などの炎症性サイトカインとともに、赤血球由来の鉄イオンが存在している。そこで、血清2%下に無添加対照、recombinant TNFα添加、鉄イオン(塩化鉄(III))添加の各条件でIshikawa細胞およびHEC1B細胞を18~72時間培養したところ、recombinant TNFα添加および鉄イオン添加により、MLH1発現およびMSH2発現の低下が観察された。このことからOEM内のTNFαだけでなく鉄イオンもMMR機能低下にかかわると考えられる。この発現低下はmRNAでも観察されるが、低下の程度はタンパクの方が大きいことから、転写抑制だけでなく、タンパク分解の促進も関与していると考えられた。さらに鉄イオンはフェントン反応による酸化ストレスから、DNA障害を引き起こすことから、遺伝子変異を誘発し、癌化に大きく関与する可能性が考えられた。
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