近年、低酸素誘導因子(HIF) が様々な疾患の病態生理に関与していることが明らかにされつつある。そこで網膜疾患の病態形成におけるHIFの役割を解明するためにHIFやその制御因子VHLを標的としたコンディショナルノックアウトマウスを作製し解析を行った。HIFを欠損させても成体網膜に異常をきたさず、HIFの異所的な安定は網膜変性を誘導することが明らかとなり、網膜疾患における新たな治療標的となることを見出した。さらに、網膜変性モデルに対する既知HIF阻害剤の投与実験を行い、その治療的抑制効果を確認した。これらの結果から、HIF阻害は網膜疾患治療のみならず発症予防にも寄与する可能性がある。
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