近年味覚異常が増加傾向であり、亜鉛の欠乏が味覚障害を起こすことが知られている。本研究では、低亜鉛飼料で飼育した動物での口腔感覚受容の変化を検討し、感覚受容・伝達機構における亜鉛の役割を検討した。生後3週、7週および21週のラットを低亜鉛飼料で飼育すると、体重増加が有意に低下し、血清中亜鉛濃度の著しい低下、脱毛などの皮膚異常が認められた。この動物では味覚受容、特に苦味に対する忌避が低下し、味覚伝導の中継核である結合腕傍核で苦味に応答する神経の活動が上昇が抑制されていた。この変化は、低亜鉛飼料での飼育を生後3週から行ったほうが、生後7週および21週から行ったよりも重篤であった。
|