P63(TP63)はがん抑制遺伝子p53ファミリーの一つで、非浸潤性の頭頚部扁平上皮癌で高レベルに発現する。p63の機能を調べるためにCRISPR-Cas9法によるゲノム編集を試みた。p63にはTA型とΔN型の二つの転写開始点があり、本研究ではTA型の第一エキソンのノックアウトを行った。ガイドRNAとCas9を持つ「ガイドベクター」と切断部位の5’側および3'側の隣接配列の間に薬剤耐性遺伝子を持つ「ドナーベクター」を口腔癌細胞株に導入し、薬剤耐性細胞を選択した。2種類の薬剤耐性ドナーベクターを2段階で導入・選択することにより両アレル性のTA-p63ノックアウト細胞が得られた。
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