研究課題/領域番号 |
15K11268
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岩崎 良太郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (30365390)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 骨代謝 |
研究実績の概要 |
骨の恒常性は、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のバランスにより維持されており、骨組織に含まれる骨形成タンパク質2(Bone morphogenetic protein 2: BMP2)やトランスフォーミング増殖因子β(Transforming growth factor β: TGFβ)などもその制御因子である。これらの因子は、シグナル促進にそれぞれ特異型のSmad2/3もしくは Smad1/5/8と、共有型のSmad4を介している。骨芽細胞に発現するSmad4は骨の恒常性に重要であるという報告がこれまでされているが、破骨細胞における役割については報告がない。そこで、破骨細胞特異的にSmad4を欠失させたマウス(Ctskcre/+Smad4f/f)を用い、破骨細胞におけるSmad4の役割について解析を行った。 Smad4 cKOマウスでは骨密度の低下が見られたことから、破骨細胞におけるSmad4は、生理的な環境下では破骨細胞を抑制していると考えられた。in vitroにおいて、野生型マウスの骨髄細胞を用いた破骨細胞培養系に、Smad4の上流の因子であるBMP2およびTGFβ1-3を添加したところ、BMP2とTGFβ2では破骨細胞分化の促進、TGFβ1と3では有意な抑制を認めた。そこで、破骨細胞分化の抑制はTGFβ1および3が主に作用していると考え、骨組織に豊富に含まれるTGFβ1に着目した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
破骨細胞分化の抑制はTGFβ1および3が主に作用していると考え、骨組織に豊富に含まれるTGFβ1に着目した。In vitroにおけるTGFβ1添加実験では、real time PCRの結果、破骨細胞の分化マーカーであるCtskやNFATc1のmRNAの発現低下と、抑制因子であるBcl6やIrf8の発現上昇がみられ、Smad4 cKOマウス由来の骨髄細胞ではその作用がキャンセルされることが分かった。そこで、Bcl6とIrf8の上流であり、これらの因子を抑制する転写因子であるPrdm1に着目した。ChIP-seq法を用いた結果では、TGFβ1を添加させた際、Smad2/3のPrdm1転写因子の転写開始点付近への結合が増加することが分かった。そこで、破骨細胞特異的にSmad4とPrdm1を欠失させたマウス(Ctskcre/+Smad4f/fPrdm1ff/)の骨密度を解析したところ、Smad4による骨密度の低下がキャンセルされることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
Bcl6とIrf8の上流であり、これらの因子を抑制する転写因子であるPrdm1に着目した。ChIP-seq法を用いた結果では、TGFβ1を添加させた際、Smad2/3のPrdm1転写因子の転写開始点付近への結合が増加することが分かった。そこで、破骨細胞特異的にSmad4とPrdm1を欠失させたマウス(Ctskcre/+Smad4f/fPrdm1ff/)の骨密度を解析したところ、Smad4による骨密度の低下がキャンセルされることが分かった。申請者らは今後、骨破壊モデルを使用し実験をおこなっていく
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次年度使用額が生じた理由 |
経費を節約した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度同様、実験に使用する試薬などの物品、また学会などへの参加旅費等で計画通りに使用する予定である。
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