研究課題/領域番号 |
15K11308
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
照光 真 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60401767)
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研究分担者 |
吉川 博之 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20547575)
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
佐藤 由美子 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (70709857)
倉田 行伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20464018)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 神経炎症 / マクロファージ / USIO / M1 / M2 |
研究実績の概要 |
本研究は、三叉神経損傷後のラットに対して造影剤を投与し実験用MRIでイメージンを行い、神経炎症に伴うマクロファージ活性を計測する。 平成27年度は、ラット下歯槽神経(IAN)を下顎骨後方で切断し中枢側と末梢側に間隙を設けて閉創して、神経腫を形成するモデルラットを作成した。 さらに、このモデルラットの疼痛関連行動を計測する行動学的実験を確立した。まずラットにミルクの報酬を与え、報酬を取得する条件付けを行う、その後報酬を得るためには、下顔面に冷刺激と温熱刺激が与えられるという負の条件付けのある状態での行動記録を行う。神経腫により下顔面に異常感覚が生じていれば、報酬に向かうモチベーションと成功率が低下をする。この実験系の確立で、自発行動下のラットの異常感覚による行動変化を定量的に計測することがが可能になった。 実験用MRIによる予備実験では、酸化鉄ナノ超微粒子(USPIO)造影剤を静注して24時間後にMRI撮影を行った。USPIOは貪食能が高いとされるマクロファージのM2サブタイプによって取り込まれる。神経炎症が遷延している場合は損傷IANではSham側に対してより多量のUSPIOが取り込まれ、その部位は磁場の均一性が乱れT2緩和時間が短縮する。予備実験の解析結果から損傷後3週間した慢性期に入った時期にもかかわらず、損傷側では有意にT2緩和時間が短縮していることが明らかになった。この予備実験においてUSPIOの投与時期、投与量、撮像方法、解析方法の方針を策定することができた。今後の本実験でのデータ取得の基盤となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オペラント条件付けを利用した動物の疼痛に関連した行動記録と解析が可能になり、またUPIOを用いた実験用MRIでのマクロファージ活性に由来するとみられる画像変化が計測できる可能性を示せた。しかし動物での神経炎症の組織学的検索をこれから進めなくてはならない。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験MRIで捉えられるものを組織学的に検証する。この準備として講座研究室内に必要機材を設定した。分担研究者と協同してマクロファージサブタイプの局在、USPIOの取り込みを末梢神経と中枢神経で検索してゆく。 動物行動学実験からMRイメージングまでの実験データ数を増やしてゆく。分担研究者の一人が動物実験に新たに参画できる体制を整えた。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫組織学的実験がまだ本格的に始動していないため試薬等に係る経費が予定よりも少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、実験動物中央研究所でのMRI実験、組織学実験が予定されそのための経費が必要になる。 4月15日支払分 5,569円、実質未使用額 574,963円
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