研究課題
歯根膜組織、歯肉組織のエピゲノム解析を遂行した。転写活性が低い閉鎖型クロマチンと関連しているヒストンH3k9のメチル化およびメチル化酵素発現を比較した。免疫組織学的観察では、H3k9me1(モノメチル化)は歯根膜線維芽細胞、骨膜骨芽細胞にその局在が観察されたが、歯肉線維芽細胞にはほとんど認められなかった。H3k9me2(ジメチル化)はやはりH3k9me1と同じく歯根膜線維芽細胞、骨膜骨芽細胞にその局在が観察されたが歯肉線維芽細胞にはほとんど認められなかった。H3k9me3(トリメチル化)は歯根膜線維芽細胞、骨膜骨芽細胞ならびに歯肉線維芽細胞にわたって観察され、歯根膜線維芽細胞ならびに歯肉線維芽細胞で比較を行うと、ヒストンH3k9me1、H3k9me2に違いがみられ歯根膜線維芽細胞で強いモノメチル修飾が観察された。次に、メチル化酵素発現の解析を行った。H3K9のメチル化に関与するといわれている酵素群についてその遺伝子発現をreal-time RT-PCRにて検討した。また特異抗体を用いた免疫蛍光組織染色も併用し、タンパク質レベルの発現解析を行った。遺伝子レベル、タンパク質レベルともにGlpとG9a発現に差を認め、どちらも歯肉に比較して歯根膜で高い発現が観察された。更なる分子生物学的解析を進めるため、ヒト歯肉、歯根膜線維芽細胞セルラインを用いてin vitroでの比較解析を行うこととし、ラットで得られたデータの再現性があるかを確認した。ヒト歯肉に比較して歯根膜線維芽細胞でGlpとG9aの高い発現を確認した。歯肉セルラインと歯根膜線維芽細胞セルラインの遺伝子発現マイクロアレイ解析から、発現が大きく異なる遺伝子のうち転写因子に着目して10遺伝子まで絞り込みを行った。今後これら10遺伝子についてクロマチンの状況とヒストンメチル化の相関について解析を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件)
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