研究課題/領域番号 |
15K11625
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木下 由美子 九州大学, 医学研究院, 講師 (30432925)
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研究分担者 |
壬生 隆一 国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 教授 (20200107)
金岡 麻希 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (50507796)
宮園 真美 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (10432907)
中尾 久子 九州大学, 医学研究院, 教授 (80164127)
樗木 晶子 九州大学, 医学研究院, 教授 (60216497)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | QOL / 症状マネジメント / 機能障害 / 直腸がん / 集学的治療 / 有害事象 / 性差 / ライフステージ |
研究実績の概要 |
下部直腸がんに対しては、直腸切断術(人工肛門造設術)が標準治療であるが、近年では技術の発達 と永久的人工肛門を造設する心理的負担が考慮され、内肛門括約筋切除術(ISR)や超低位前方切除術(ULAR)が行われている。これらの手術では一時的人工肛門の造設が行われ、人工肛門閉鎖後には便失禁・排便の不規則性などの排便障害の重症化や遷延化が懸念されている。さらに排尿・性機能障害も起こりうる。患者は、排便障害が重症化することが多く、化学療法による有害事象が加わり、外来通院中に試行錯誤しながら日常生活を送っていた。肛門温存手術を受けた患者ののQOL(EORTC C30)は、概ね術後1カ月に最も低下し、術後12カ月には術前のレベルに回復した。性差による比較では、術後12カ月目の社会面QOLは,男性が不良で、全般的QOLは,術後1カ月の女性の全般的QOLは,倦怠感,体重減少,排便の問題,将来展望に、男性は,倦怠感,体重減少,将来展望,役割機能の影響を受けていた。年齢による比較では、高齢者群 (60歳以上) は、術後1か月後に全般的QOLと認知面QOLが有意に低下し,全般的QOLには認知面QOLが影響し、認知面QOLには痛み、財政難、排便の問題が影響していた。術式による比較では、ISR群は、ULARおよび低位前方切除群より有意に精神・社会面QOLが不良でQOLには排便の問題と強く相関していた。化学療法の有無による比較では、化学療法群は、術後12か月目の 身体面QOL(痛み,不眠が影響)および社会面QOL(経済的困難,痛み,倦怠感,将来展望が影響)が有意に不良であった。これらの結果より、性差、年齢、術式、補助化学療法の有無などにより、患者のQOL影響要因は異なるため、看護者は、これらの違いを踏まえてQOL向上を目指したケアを実践することが重要であることが示唆された。
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