本研究の目的は、正確なドラム演奏を実現する、熟練者の身体運動の特徴を明らかにすることである。研究1では、片手による打叩動作を熟練者と初心者で比較した。その結果、最速打を課題とした先行研究とは異なり、熟練者に手首屈曲・伸展筋の同時収縮が起こらないということが必ずしも精確な打を意味しないことを示唆するデータを得た。研究2では、8ビートを課題とした実験で、ド ラム熟練者のダイナミックな演奏は、身体全体の大きな 動きにより実現されたこと、ドラム熟練者の正 確な演奏は、運動の方向を一定に保つことにより実現さ れた可能性があることを示した。
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