本研究の目的は,二つの方向から見たとき全く異なる断面をもつ柱体に見える多義柱体の仕組みを明らかにし,その汎用設計法を確立することである. まず与えられた2つの図形から,対応する空間曲線を求める方程式を構成し,それを一つの方向へ掃き出し,できるだけ一様な厚みをつけることによって多義柱体を設計する方法を開発した.それを紙工作するための展開図の製作法も開発した。 次に多義柱体の設計法を応用して,鏡に映すとトポロジーが変わる立体,鏡に映すと向きが逆転する立体などの計算法も開発した.そして,それらを実現する錯視立体を多数製作して錯視を確認し,多義柱体という新しい不可能立体の理論体系を作ることができた.
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