本研究では、自然界で有意な変動を示すことが明らかになった水の三酸素同位体比を、水循環研究の新指標として活用することを最終目標としている。本研究では、国内外の観測地点で採取された降水試料、湖水試料、氷河試料の三酸素同位体比を定量した他、洋上大気中の水蒸気を捕集し、温度や湿度の違いによって水蒸気の三酸素同位体比がどのように変化するのかを確認した。また、火山ガス試料中の水蒸気や火山地帯の熱水の同位体比の定量を行い、火山活動に伴って地下から地上へ出てくる水の起源に関する知見を得ることを試みた。その結果、様々な環境における水試料中の三酸素同位体比より新たな情報を引き出せる可能性が大きいと考えられた。
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