研究実績の概要 |
大気中に存在する水滴や海洋などの気液界面ではイオンが重要な働きをしている。たとえばヨウ化物イオンは気液界面に選択的に集まるため、気体オゾンと界面で反応を起こす。その結果、大気中にヨウ素が放出され、対流圏のオゾン濃度に影響を与えている可能性が指摘されている。本提案研究では、水の界面におけるイオン分布に関する研究を行ってきた。H29年度はこれまでの研究を進展させて、水とアセトニトリル、水とテトラヒドロフランなどの混合溶液の気液界面におけるイオン分布の研究を行った。その結果、これらの混合液体の表面における微小な不均一性(micro-heterogeneity)由来であると考えられる現象を複数発見することができた。特に、水の界面と比較して、水とアセトニトリルをある割合で混合するとイオン分布に極大が現れることを示した。大気環境において水は単体では存在しておらず、常にほかの分子と混合しているため、本成果の与えるインパクトは大きいと考えられる。本成果は現在論文にまとめているところである。また北海道大学低温科学研究所、京都大学化学研究所と共同研究を行い、直物の葉の表面のイオン分布に関する成果をあげ、Hama et al. In situ nondestructive analysis of Kalanchoe pinnata leaf surface structure by polarization-modulation infrared reflection-absorption spectroscopy, J. Phys. Chem. B, 2017, 121, 11124-11131.として論文発表した。
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