研究課題/領域番号 |
15K12199
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
小川 奈々子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 生物地球化学研究分野, 主任技術研究員 (80359174)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | クロロフィル色素 / 窒素同位体比 / 植物プランクトン / 海洋窒素循環 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、海洋研究開発機構の海洋地球研究船「みらい」の平成27年12月~平成28年1月に行われたMR15-05-leg2航海にて、好気的環境の東部インド洋において懸濁粒子試料と海水試料を採取した。採取された懸濁粒子試料については全窒素同位体比・クロロフィル色素同位体比の測定を実施した。同航海では試料採取手法についての検討も実施し、採取した懸濁粒子をセルソーターにかけ、蛍光情報を元に植物プランクトンを単離した。得られた懸濁粒子試料および植物プランクトンの窒素同位体比は超高感度元素分析計‐質量分析計を用いて測定された。懸濁態試料からはクロロフィル色素が抽出され、化合物レベル窒素同位体比測定を目的とした単離精製が実施された。 研究航海における試料採取と並行して、海洋観測現場でより効率的に懸濁粒子を捕集するための大型試料採取装置の改良を実施し、これまでに実験水槽での予備実験が終了した。平成28年度にかけて実際の研究航海での使用に向けた準備過程(改良した部品の増産等)をすすめ、平成28年7月以降の研究航海において試料採取に使用する見込みである。平成27年度はこのほかに採取後の懸濁粒子や植物プランクトン試料の船上における海水除去等をより簡便かつ効果的に行うための微量ろ過装置を製作した。培養プランクトン試料による予備実験において効果が確認されたことから、上述の東部インド洋の航海では試料採取において、実際の海洋試料中の微小植物プランクトン試料の捕集・調整に使用され、微小植物プランクトンの窒素安定同位体比情報を得ることに貢献した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主眼である、懸濁粒子試料の採取手法とクロロフィル分析に関連する前処理手法の各々の改良に関する部分は順調に進展しており、これまでに得られた試料の分析および解析は滞りなく実施されている。 一方、試料採取の期間については、当初は平成27年度までに完了としていたが、平成28年度にも継続して実施することとしたため、この部分において予定よりやや遅れていると判断した。これは研究航海スケジュールの都合から東部インド洋での研究試料採取量が予定より少なくなったことに起因する。 前述のようにこれ以外の項目が順調に進んでいることから、研究対象に平成28年度に採取予定の亜熱帯海域試料を含めることによる、全体の進展への影響は比較的小さい。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度までのインド洋での研究試料採取量が予定より減少したことから、研究試料の採取を平成28年度まで継続して実施することとした。 懸濁粒子試料のクロロフィル分析手法の確立に関する部分、得られた試料の分析と解析はほぼ順調に進展していることから、平成28年度の海洋試料に関しても試料が採取され次第、それらの窒素安定同位体比測定を実施し結果の解析を進める。 またより確実に必要な測定データを得るための技術的基盤を築くため、試料採取までの期間を利用して、本年度より実施している現場での試料採取手法と船上での試料処理技術の双方の改良については、継続して進めていく。 得られた結果については順次解析を進め、成果についても引き続き平成28年度に行われる国内外の学会において順次公表し論文としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた機器パーツの一部について仕様の変更が必要となり、平成27年度内の納品が不可能であることが判明したことから、平成28年度に購入することとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した研究費は、平成27年度中に購入を予定していたが納期の関係で購入を見送った機器パーツ(上述)の購入、および関連の分析関連消耗品の購入に使用することを予定している。
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