研究課題
平成28年度の試料採取は7月に北西太平洋の亜熱帯の観測定点(S1: 北緯30度/東経145度)近隣の2地点(S1西:北緯30度/東経142度、KEO北緯32.19度/東経144.32度)にて行われ、基質となる溶存態の炭素及び窒素分析用の海水試料、植物プランクトン種の同定計測用試料とともに、大型現場濾過器による懸濁粒子試料の採取を行った。前年度より継続してきた試料採取技術の改良と検討作業の結果、大型現場濾過装置による現場濾過作業の簡略化が可能となったことから、本年度は鉛直方向での複数試料採取が可能となった。この結果、表層0mから125m間の5深度について懸濁粒子試料が採取された。またクロロフィル濃度が極大を示した深度(水深約100m)では孔径の異なるフィルターを用いた異なる粒子サイズの試料採取も実施された。得られた懸濁粒子試料は、それぞれ有機溶媒抽出と高速液体クロマグラフィーによる前処理を経てクロロフィルの化合物ごとに分離して精製された後、前年度までに得られた試料とともにクロロフィルの化合物レベル炭素窒素同位体比の測定を行った。クロロフィル濃度極大で採取された試料は、その一部がセルソーターを用いて異なる蛍光特性をもつ植物プランクトンごとの単離処理に供された。単離された植物プランクトンは、それぞれのグループごとに全窒素・炭素安定同位体比が測定された。安定同位対比測定にはいずれも研究代表者が開発した超高感度の元素分析/同位体質量分析システムが用いられた。得られた結果は安定同位体物質循環モデルを用いて、その窒素起源についての解析を行った。得られた研究結果は複数の国際学会において口頭およびポスターにて発表された。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
Journal of Oceanography
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10.1007/s10872-015-0308-2
月間海洋
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