本研究の目的は調理動作のバイオメカニクス的特徴を調べることで、対象として「包丁によるリンゴの丸剥き動作」を取り上げた。女子大学生148名に予備試験を行い、その中から熟練者・未熟練者それぞれ10名ずつを本実験の参加者とした。本実験では参加者の両手の動きをモーションキャプチャー(VICON)で記録し、同時に両手の手指の筋活動も計測した。その結果、熟練者は右手を包丁に固定して数回力を入れながら左手で保持したリンゴをゆっくり回転させ、次に左手で保持したリンゴを持ちかえる、というパターンで左右の手を協調させていた。一方、未熟練者ではこうした左右での協調パターンがみられなかった。
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