本研究の1年目の前半は、ランダムな物理のリアルタイム計算システムをニュージーランドの研究協力者と開発してから、本人と精密に制御したボールロール実験で実際のゴルフ・グリーンのランダム性を定量化し、上記ランダムな物理システムに統合した。その結果、現実的な環境ランダム性をリアルタイムでシミュレーションできるシステムの開発ができた。1年目の後半は、上記ランダムな物理システムを用いて、バーチャル・ゴルフ・パットのトレーニングシステムを開発した。3次元環境の中でリアルタイムで現実的なボール・ロールのパッティングゲームになった。
2年目の後半は、ナイキ・ゴルフ(米国) の研究協力者とともに、ゴルフの上級者のアマチュアを対象とした予備実験を行い、上記バーチャル・システムのトレーニング期間・回数や、トレーニング前後の実際のパッティングの実験方法を確率した。その結果を2016年の第7回世界ゴルフ科学会議で発表した。その後、信州大学で初級者を対象とした本実験を行い、その結果を論文で報告し、現在国際学術誌で査読中である。
一般的な結果として、物理的なランダム性によってゴルフ・パッティングの成功率が微妙に高くなったが、それより明らかにしたのが、被験者毎に早く(1日以内)バーチャルのランダム性に慣れ、実際のパッティングのランダムな結果への運動学的な反応・変更を小さくした。それは、バーチャルのランダム性トレーニングが進めば進むほど、制御できない外部ランダム性を深く理解し、外部ランダム性への反応を小さくするため、長期的なパフォーマンスを改良できる予想になる。それを明らかにするため、今後の長期間実験を研究協力者と計画している。
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