研究課題
挑戦的萌芽研究
経済学は物的豊かさや、経済成長、経済的効率性を追求する学問であると見なされがちである。しかし、19世紀イギリスの古典派経済学者の多くは金銭的に測られる経済的価値だけではなく、余暇や生活の安定などの社会的価値にも関心を向けていたことを本研究は明らかにした。例えばマルサスは家族の形成が理想的に行われるようになれば、低成長社会において労働が軽減され知的な活動が促進されると考えていた。
経済思想
本研究は経済学確立期の問題関心に社会的価値という光を当てることで、経済学が追求しようとした課題を明らかにするものである。こうした作業を通じて、今日、経済学の限界として指摘される、経済成長至上主義や公共性の欠落といった問題の解明と、さらに社会的価値を復権させる可能性への手掛かりを与えるものと期待される。