2018年度は,全国1741の市町村を対象に,第5期障害福祉計画の作成過程に関する実態調査を行った。障害福祉計画は,障害者総合支援法において各自治体に策定が義務付けられているが,その作成過程を明確化し,その妥当性をプログラム評価,とくにニーズ評価と理論評価の観点から検討した。調査票の項目は,障害者総合支援法の障害福祉計画に関する条文,および「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」[平成18 年厚生労働省告示第395 号]に記載される事項を基本枠組みとして用い,ニーズ評価の実施内容,ニーズ評価実施の検討体制,ニーズ評価の結果と成果目標およびその数値設定との関連が明らかになるように作成した。 調査の結果,障害福祉計画作成に先立って,障害者を対象としたアンケート調査を主として様々な調査が実施されていることが明らかとなった。一方で,成果目標,すなわちアウトカム指標とその数値設定との関連は必ずしも明確ではなく,厚生労働省告示第395号の基本的な指針で示される基準数値に準拠して設定されていたり,第4期障害福祉計画の2016年度末の実績に基づいて設定している自治体が多いことが示された。また,ニーズ評価に基づき,独自の成果目標を設定している自治体は少なく,障害者総合支援法および基本的な指針で示される事項に限定して成果目標が設定されている現状が明らかとなった。 成果目標とその数値設定の在り方にかかる背景要因についても分析した。
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