本研究の目的は、近年国内でも増加傾向にありながら、これまで実証的研究がほとんどなされてこなかった定住外国人子弟の乳幼児期の言語および認知発達の特性を明らかにすることから、エビデンスに基づく教育現場での支援につなげることである。国内の定住外国人の中で最も人数が多い日系ブラジル人児童と日本人児童を対象に、言語発達調査、心の理論などの社会的発達調査、実行機能発達調査などを実施した。その結果、日系ブラジル人5歳児は、母語であるポルトガル語も教育言語である日本語も年齢相応のレベルよりも遅れており、その影響で心の理論の発達の遅れが見られること、しかし実行機能には遅れが見られないことが明らかとなった。
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