研究課題
挑戦的萌芽研究
2008年のリーマンショックの後、歌謡曲(日本のポピュラーソング)が海外でブームになった。本研究は歌謡曲の歌詞の言語と聞き手の母語言語(日本語・非日本語)の観点からその理由を検討した。その結果、(1)日本語母語者には歌詞が日本語でも英語でも印象は全体的に類似しているが、言葉の響きに関しては日本語の方が高い評価を得ること、(2)日本語歌詞に対しては日本語母語者と非日本語母語者の間でいくつかの評価に違いがみられること、等が分かった。言語の違いと文化の違いの観点から考察した。
認知心理学
「歌謡曲が世界中でブームになったのは、歌詞の中に含まれる言葉数は少ないがモーラ(日本語の話し言葉の単位)により母音の数が多いためである」という仮説を、科学的に実証した。これは音楽心理学と音声知覚を結び付けたことにより得られた結果であり、学術的意義は大きい。さらに日本人の心情に深く結びついている歌謡曲が文化を超えて理解されることを科学的に実証したことは、日本文化独特の世界観を理解する上で重要な示唆を与えるものであり、社会的意義がある。