研究課題/領域番号 |
15K13197
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
柏木 智子 大手前大学, 総合文化学部, 准教授 (90571894)
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研究分担者 |
武井 敦史 静岡大学, 教育学部, 教授 (30322209)
仲田 康一 大東文化大学, 文学部, 講師 (40634960)
大林 正史 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (40707220)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 子どもの貧困 / 学習支援 / ネットワーク / 行政 / 塾 / 学校 / NPO |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度に引き続き、子どもの貧困・学習支援・学習意欲・ネットワークに関する国内外の先行研究精査を行い、分析枠組に関する視点の整理を行った。また、地域によって、学習支援の在り方が異なるのかについて、資料収集とともにインタビュー調査を実施した。 子どもの貧困問題に対しては、行政主導の支援活動とNPO等の民間組織による支援活動が広がりつつあり、それらがネットワークを形成し、協力して問題解決に取り組みつつある自治体が多くなってきた。学習支援に関しても、行政主導で学校が何らかの方法で主に担っているところもあれば、NPO委託のところもある。また、塾が委託先になっている場合もある。大学生による支援組織が立ち上がっているところもある。地域によって委託先が異なるとともに、選択肢がほとんどない場合がある。というのも、大都市圏であれば多くのNPOが立ち上がっているが、地方の市の場合はNPOがなかったりする。塾もほとんどない場合もある。学習支援の在り方に地域の違いが見いだされた。 また、学習支援の受託先によって、その支援内容が異なることがインタビュー調査から示されつつある。本研究のねらいは、学習支援のプログラム内容や方法等を明らかにすることであったが、学習支援のプログラム内容や方法が、塾とNPO、学校、大学生の支援との間で異なっていたりする。学習支援の場のもつ意味自体も受託先によって異なり、居場所づくりを主に担っている場合もあれば、居場所づくりを兼ねつつもやはり学力向上に重点をおいている場合もある。加えて、子どもの年齢によって異なるものの、高校進学という明確な目的を持っているところもあれば、そうではないところもある。さらに、学習支援と子ども食堂が合わさっているところもあり、多様な形態が見いだされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
貧困世帯に対する学習支援はこの数年で相当な広がりを見せつつあり、プログラムの運営主体や地域特性およびプログラム内容とその方法に関する体系的な実態把握をするには現段階では網羅できていないところが多く、調査数が少ない現状にある。また、その効果検証については、調査できていない。まずは、多様なあり方を把握するための調査方法を検討すべきであると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
学習支援のあり方および学習プログラムの効果検証を子どもの学習意欲に着目して行うための質問紙調査を実施する。運営主体・方法、プログラムの目的・内容・教育方法(ペダゴジ―)、参加するアクターなどによる学習意欲形成の違いについて分析する。また、28 年度の調査先にてフィールドワークを実施し、具体的な活動の様子について把握する。最近では、子ども食堂と学習支援を組み合わせた活動が広がりつつあり、そうした活動への調査を実施する。さらに、子どもの貧困対策を担う組織のネットワーク形成が見られるため、そうしたネットワークの動きについても追っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査の実施が遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度質問紙調査を実施する予定である。
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