本研究は、グローバル人材の育成に対する要請が高まる今日の日本において、そのひとつの有効な方策として注目されるインターナショナル・バカロレア(IB)の普及・拡大に向けた新たな動きである日本語ディプロマ・プログラムの導入を受け、科目「歴史」のモデルカリキュラム・授業の開発を行うものである。それを通して,グローバル人材育成の牽引役となるIB認定校やスーパー・グローバル・ハイスクールのみならず,それらを含むすべての日本の学校の歴史教育をグローバル社会で活躍できる資質・能力の育成に対応したものへと改善することを図るものである。本研究では次の3点を実施した。(1)IBディプロマ・プログラムで育成を目指す資質・能力の全体像と、そこでの歴史教育の位置づけを分析し、IBプログラムにおける歴史教育の特徴を解明した。(2)日本国内のIB認定校において既に英語で実施されている歴史教育ならびにIB日本語認定校を目指して検討に着手している学校で構想されている日本語科目「歴史」を調査し、それらの論理と実際を分析した。(3)これらの調査・分析にもとづいて,日本語科目「歴史」のモデルカリキュラム・授業を作成した。具体的には、IBが指定している「世界史トピック」の「独裁主義的国家(20世紀)」(45時間配当)の授業案(教師用指導書,生徒用資料)を作成した。 研究成果は,2016年度の「広島大学東広島市連携教育フォーラム」ならびに「全国社会科教育学会研究大会」において口頭発表した。
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