非特異な複素射影代数曲面上にある必ずしも既約でも被約でもない代数曲線に対するトレリ型の問題を考察した. 当初想像していたよりも困難な問題だったため,研究期間内に決定的な結果を得ることはできなかったが,解決方法を模索する過程において,(1)重複ファイバーに対する標準線形系の基点の振る舞い,(2)必ずしも数値的3連結でない曲線に対する標準写像の挙動, (3)代数曲線束の正規極小モデルとなる特異ファイバーに対しては,その既約成分の数,種数,それから重複度からなるデータを固定すれば,変形のパラメータ空間が連結であること,を示すことができたことなど,部分的な成果は挙げられた.
|