量子論理に基づく集合論である量子集合論の研究は,論理学的方法で量子論を再構築し,量子論の確率解釈を拡張することを目指している。量子論理には含意結合子の選択に任意性があり,その標準化や個別化が長年の問題とされてきた。本研究では,含意結合子の選択による量子集合論の差異に着目し,量子集合論の移行原理が成立する多項式定義可能な2項演算がちょうど6種類あることを証明し,そのうち実質含意と呼ばれる3種に対して,量子集合論で定義される量子物理量の順序関係の確率解釈の差異を明らかにし,実験的検証可能な特徴付けを与えた。この研究により数学基礎論と物理学の新しい境界領域の展開と量子情報技術への応用が期待できる。
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