研究課題/領域番号 |
15K13467
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
浮田 信治 国立天文台, 岡山天体物理観測所, 准教授 (20184989)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 天体望遠鏡 / 金属鏡 / 金属研磨 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまであまり試みられてこなかった金属鏡を用いた天体望遠鏡製作の要素技術の開発を行い、実際に分光観測に用いてその科学的有用性を実証するものである。 平成27年度、2枚目のアルミ反射主鏡を製作した。第一段階の切削加工では、鏡の鏡面精度1.6 μm rmsと1枚目(平成24年度製作)の2.1 μm rmsより良好な鏡面精度を達成した。 第二段階の研磨作業において、1枚目の鏡では粒子サイズ3μmの研磨剤を用いてピッチ盤で研磨していたが、今回はピッチ盤に貼り付けた耐水ペーパー(#2000~#3000)を用いて研磨する工程を加え、2つの工程を交互に行いながら慎重に研磨を進めた。こうすることで実効的に研磨作業を効率よく行うことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
鏡面支持機構部の製作が遅れている。当初の計画より交付金が減額されたことを補うため、鏡面支持機構部を自作することになった。主たる経費である「アルミ反射主鏡」の製造契約が完了して残金の見通し出来てから、その製作を進めることになったためである。主要な構成部品の購入を行ったが、完成を平成28年度に延期した。 また主鏡を望遠鏡架台に取り付け、星像検査と修正研磨も次年度に延期となった。 一方で平成28年度に予定していた低分散分光器の製作を進めた。分光用CCDカメラのWindowsベースのソフトウェアを更新し、各種試験データを取得した。冷却温度が-70度以下になると動作不安定になることが判明したが、-65度での運用で実用上は問題ないと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
製作が遅れている分割鏡の3点キネマティック支持機構部と鏡面支持フレーム及び傾き調整用のZ軸ステージ部を製作し、アルミ鏡を望遠鏡に搭載する。鏡面形状測定(ハルトマン測定)を行いながら修正研磨作業を行い、鏡面を完成させる。分割鏡であるため2枚の鏡が作る星像を合わせるアライメント補正手法を確立する。主焦点と観測室に設置した低分散分光器とを結ぶ光ファイバーリンク系の主焦点入射部の再設計と製作を行う。低分散分光器のCCDカメラを分光専用のCCDに載せ替えを行い分光器を完成させる。早ければ平成28年度の後半から総合的な観測性能の評価を行う。 平成29年度には1 m 鏡相当の集光力を得てKISOGP の長周期変光星や不規則な変光を示す若い前主系列候補の星にも注目して分光分類follow-upを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より交付金が減額されたことを補うため、鏡面支持機構部を自作することになった。主たる経費である「アルミ反射主鏡」の製造契約が完了して残金の見通し出来てから、その製作を進めることになった。主要な構成部品の購入を行ったが、ある一部の部品の仕様決定に時間がかかり、その部品の選定・購入を次年度に延期した。
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次年度使用額の使用計画 |
主鏡支持機構部の製作・調整を進め、その初期性能データを取得した上で最終的な設計を完成させ、平成28年度の助成金と合わせて、この部品の製作を行う。
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