本研究は言語の成立と変容の過程すなわち「言語がいかにして生まれ,時間とともに変容し,また地理的な差異を生じてゆくのか」、そしてその過程で時空間的・情報的制約がどのような役割を演ずるのか、という素朴な問いに端を発したものである. 言語は人間の知的活動の産物ではあるが,限られた情報処理能力しか持たない人間集団による時間的・地理的な制約下でのコミュニケーションを介して形成されたものであるという,物理現象に近い普遍性も強く持っている.本研究は「移動」というファクターに焦点を当てることによってこの問題を適切に限定し,数理モデルによって具体的な検証を行ったものである.
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