研究課題/領域番号 |
15K14012
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
下村 匠 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40242002)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 塩分 / 水分移動 / 蒸気圧降下 / 毛細管凝縮 / 拡散 / 凍結防止剤 |
研究実績の概要 |
本研究では塩分がコンクリートの乾湿挙動に及ぼす影響を実験により検討し、得られた知見に基づき従来の水分移動モデルに塩分が及ぼす影響を導入した。平成27年度には以下の実績を収めた。 コンクリート細孔中の液状水に塩分が存在すると同一環境下におけるコンクリートの平衡液状水量が大きくなることを実験により明らかにした。またこのことは、毛細管凝縮理論に加えて塩分による飽和水蒸気圧の低下と液状水の密度、表面張力の変化を考慮することで表現できることを確認した。コンクリート表面からの水分の逸散速度はコンクリート細孔中の液状水に塩分が存在することの影響をほとんど受けないこと、一方、吸湿速度は塩分濃度が高くなるほど大きくなることを実験により明らかにした。これらは、毛細管凝縮理論に加えて塩分による飽和水蒸気圧の低下と液状水の密度、表面張力の変化を考慮することで表現できることを確認した。コンクリート細孔中の液状水に塩分が存在することでコンクリート内部の水分移動速度が低下することを実験により明らかした。このことは、塩分による飽和水蒸気圧の低下と液状水の密度、表面張力、粘性係数の変化およびコンクリート中の液状水移動速度の低下を考慮することで表現できることを確認した。 コンクリート中の液状水の塩分濃度が海水程度(3%程度)である場合では、従来行われてきた塩分がコンクリート中の水分移動に及ぼす影響を考慮しない計算方法によってもコンクリートの乾湿挙動ならびにコンクリート中への塩分浸透を評価できることを確認した。一方、コンクリート中の液状水の塩分濃度が高い(10%程度以上)場合では、コンクリートの乾湿挙動ならびにコンクリート中への塩分浸透をより正確に把握するためには塩分がコンクリート中の水分移動に及ぼす影響を考慮するのがよいとの結論に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
塩分濃度をパラメータとしたモルタル供試体の乾湿挙動に関する基礎実験と終了し、塩分がコンクリート中の水分移動に及ぼす影響を把握できた。またその影響メカニズムとモデル化についても検討できた。これらより当初の計画を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
塩分が存在すると液状水移動速度が低下する原因については未解明であるので、その微視的メカニズムの解明に取り組む。また、コンクリート表面が凍結防止剤を含んだ高濃度の塩水により湿潤する場合や、雨水により洗い流される場合への応用についても取り組む。
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