コンクリートの物性を,骨材-セメントペーストマトリックス界面領域(遷移帯)に帰着させて考えることが多いが,その実体は必ずしも明らかではない.そこで本研究においては,電気伝導度の計測とセメント粒子の空間統計量に基づいて,遷移帯存在の可能性を調べた.その結果,遷移帯の連結に起因する現象は認められず,点過程統計量およびそのシミュレーションでも,遷移帯と考えられる局所領域の存在は確認できなかった.微細なセメント粒子にて界面は相応に充填され,界面近傍においても統計的に均質にセメント粒子は分布していた.よって,遷移帯はランダム過程の変動内の見かけの現象であり,その評価は統計学的になされるべきである.
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