本研究では、有機高分子保護金属クラスター触媒において、弱い相互作用しか存在しない金属クラスター表面と有機高分子との界面に、化学的あるいはコロイドのモルフォロジー変化による摂動を与えただけで新たな反応性を獲得する可能性の探求の一環として、不斉反応をその典型例として選択し、不斉反応場を誘起し、金属クラスター触媒を用いた不斉反応を試みるものである。 その結果、保護マトリクスとして特異な性質を示すポリビニルピロリドン(PVP)にキラリティを導入した高分子の調製に成功し、それらを用いた不斉触媒反応を試みたところ、トシルアミドのアルケンへの分子内付加反応において不斉誘起を観測することに成功した。
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