研究課題/領域番号 |
15K14442
|
研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, グループ長 (50280524)
|
研究分担者 |
山田 明義 信州大学, 農学部, 准教授 (10324237)
辻田 有紀 佐賀大学, 農学部, 准教授 (80522523)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 菌根 / 保全 / 共生 / 植物 / 菌類 |
研究実績の概要 |
菌従属栄養植物の中には、樹木と共生する難培養性の外生菌根菌から養分を得て生育する種が存在する。本研究は、このような特性を持つ希少野生植物の生息域外保全に向け、人工培地上で培養が困難な外生菌根菌について、樹木に菌根形成させた状態で培養・保存する技術の開発を目的とする。さらに、樹木・菌根菌・菌従属栄養植物の3者共生系構築を目指す。菌従属栄養植物の材料として、外生菌根性で難培養性の担子菌類と菌根共生することが知られているマヤラン(ラン科)を主に用いた。まず菌根菌の菌糸塊の分離に関して、より大量の菌糸塊を純粋に分離する手法を開発した。続いて、抽出した菌糸塊を、共生パートナーであるクロマツ(マツ科)の根に直接接種し、外生菌根を形成させる実験を行った。その結果、接種後3ヶ月目に外生菌根を形成させることに成功した。先行研究で菌従属栄養植物からの分離菌糸塊を外生菌根の接種源として利用する手法が報告されているものの成功率は1割程度と低く、再現性に問題があった。本実験では根と菌糸塊の接触面を広くし、加えて接種した菌糸塊が動かないよう固定する工夫を行った。その結果、菌糸塊を接種した苗すべてにおいて菌根形成が確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、菌根菌の保存法についても手法の開発を進めている。さらに、樹木・菌根菌・菌従属栄養植物の3者共生系を構築すべく、準備を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
植物の菌根組織より抽出した菌糸塊を接種源とし外生菌根を形成させる実験系は高い新規性を有しているため、実験を28年度中に完結し、続いて論文にまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消耗品を当初見積もった価格より安く購入できたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
当初の予定より実験の種類を増やし、物品費に充てる。
|