本研究ではカンキツの裂果発生要因について調査するため,裂果感受性品種と非感受性品種の形態的,生理的特性や遺伝子発現を比較した.気孔数にはやや違いが見られたが,果皮表面からの吸水に関しては裂果発生時期において違いが見られず,裂果が果皮から多くの水を吸水することによって起こるのではないことが示唆された.一方で,裂果感受性品種では裂果の多い秋の雨の時期に砂じょうが急速に肥大しており,このことと果皮が薄いことが裂果発生と関係していると考えられた.RNA-seq解析の結果,細胞肥大に関係している遺伝子の発現パターンが品種間で異なっており,このことが裂果の発生の品種間差異に関係している可能性が示唆された.
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