茨城県村松及び愛知県西の浜のクロマツ海岸林を対象に樹木動揺の観測を行った。調査個体は明瞭な固有振動数を持っており、個体間の距離が大きいほど固有振動数の差が大きかった。個体同士は風のエネルギーの強い周波数領域で同時に同じ方向へ揺れることによって、衝突を回避・軽減していた。また、個体間の距離が大きいほど固有振動数の差が大きかったことから、固有振動数付近では、両者の距離に応じて固有振動数を調整することによって衝突を回避・軽減している可能性が示唆された。周辺空間の大きさに応じて個体ごとに作用するモーメントが異なり、空間の大きさに応じて、固有振動数が調整されながら樹形が形成されている可能性が考えられた。
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