研究課題/領域番号 |
15K14775
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
中村 昇 秋田県立大学, 付置研究所, 教授 (30180384)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 燃え止まり型 / 木質耐火部材 / 薬剤・無機材料を用いない |
研究実績の概要 |
断面寸法105×180mm、長さ900mmのベイマツ集成材を、横に3層、縦に3層積層し、2次接着し、試験体とした。試験体内部の温度は、表面から内部50mm、100mm、150mmの位置に設置した熱電対で測定した。耐火性能試験は、ISO 834に準じて1時間燃焼させた後、そのまま23時間放置して、炉内および試験体内の温度の推移を測定した。外側に最も近い50mmのところでは700℃~850℃にもなっており、完全に燃焼してしまっている。また、最外縁から100mmのところでは、右側で460℃ほどになっており、ここでも燃焼していると推測されるが、左側では190℃くらいしか上昇しておらず、着火もしていないと思われる。それより50mm内側では100℃ほどで、着火温度にも達しておらず、燃え止まっていることが分かる。 次に、中心部材をベイマツ集成材とし、燃え代層にスギ板材を接着した試験体を作成した。燃え代層のスギ板材は、実加工し、2層千鳥になるようにした。1枚の厚さは35mmである。熱電対の位置は、ベイマツ集成材のみの場合と同様に、設置した。時間と温度の関係を見ると、際外縁から50mmの位置では、500℃~600℃にもなっており、完全に燃焼してしまっていることが分かる。しかし、それよりも内側では、190℃くらいしか上昇しておらず、炭化もせず燃え止まっている。 さらに、中心部材にLVL、燃え代層にスギ材を配置した、燃え止まり型木質耐火部材についても、ベイマツ集成材と同様の耐火試験を行った。着火後24時間経過を見ることになっているが、今回は温度の推移を見るため46時間とした。燃え代層の内側では500℃に達し、燃焼してしまっているが、それより50mm内側では、210℃ほどの温度であり、着火温度にも達しておらず、燃え止まっていることも分かる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
木口や側面、裏側に火炎が進入しないようにするため、セラミックウールやケイ酸カルシウム板を慎重に貼ったため、思った以上に試験体作成に時間をかかってしまった。特に、柱の試験体で、裏側に火炎が進入してしまい、試験体の裏側から燃焼してしまった。しかし、梁の試験体については、当初の目的通り、ベイマツ集成材やLVLを用いた試験体で、燃え止まっていることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
柱の試験体について、木口や側面、裏側に火炎が進入しないように、セラミックウールやケイ酸カルシウム板の貼り方を工夫し、耐火試験を行う。また、試験対数を増やし、燃え止まる確証を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
耐火炉が小さいため、特に奥行きが狭く、試験体の寸法を小さくする必要があった。そのため、木口や側面、裏側に火炎が進入しないように、セラミックウールやケイ酸カルシウム板を慎重に貼るなど、思った以上に試験体作成に時間をかかってしまった。特に、柱の試験体で、裏側に火炎が進入してしまい、試験体の裏側から燃焼してしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
特に、柱の試験体について、木口や側面、裏側に火炎が進入しないように、セラミックウールやケイ酸カルシウム板の貼り方を工夫し、耐火試験を行う。材料、熱電対、セラミックウールやケイ酸カルシウム板の購入、耐火試験のガス代に用いる。
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