本研究では化学物質暴露に対する魚体中での生体内防御物質としてのアスコルビン酸(AsA)の役割を明らかにするために、AsAが不足した飼料を魚に与えて胚を得て、検証を行った。まず、AsAが不足した胚の奇形誘発率は上昇した。このことはAsAがコラーゲン生成に欠かせないことを示唆していた。更にAsAが胚中で少なくなると、低いOxyPAH暴露濃度でも、高率で胚に影響が現れることが分かった。これは、抗酸化物質として、またコラーゲン形成時に必須のAsAが胚中で足りずに起る現象であると示唆された。これらの結果から、AsAが化学物質暴露の制御物質として欠かせないものである、ということを実験的に明らかにできた。
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