卵管上皮細胞に無数に存在する繊毛の運動は卵母細胞や初期胚の輸送に必須の生理現象で、この繊毛運動は一方向性を持つ必要があるがその制御機構には不明な点が多い。本研究はホールマウント免疫組織化学法を用いることでPCPタンパク質の一つであるVANGL1がウシ卵管繊毛上皮細胞の細胞膜のうち卵巣―子宮軸に直行する面に局在することを見出した。さらに同タンパク質の下流シグナル因子であるDVL3およびInturnedも繊毛上皮細胞に局在することを示した。これらのシグナルが卵管の入り口側から出口側まで走ることで、組織を通じて繊毛運動の方向性が統一され、子宮方向への卵管液の流れを生み出すことが推察される。
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