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2015 年度 実施状況報告書

農業利用は熱帯泥炭の分解を本当に加速するか

研究課題

研究課題/領域番号 15K14903
研究機関名古屋大学

研究代表者

渡邉 彰  名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50231098)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード熱帯泥炭 / 熱帯農業
研究実績の概要

熱帯泥炭湿地は、残された貴重な土地資源のひとつであるが、排水を伴う農地化によって泥炭として蓄積されてきた大量の有機Cの無機化が促進されることが懸念されてきた。しかしながら、ヤシ栽培下で泥炭分解速度の変化が見られなかったこと等から、これまで考えられてきたこととは異なり、分解され難い有機物も多く含まれる可能性が推察された。本研究は、熱帯泥炭が恒常的に難分解性Cを含んでいることを示し、その実体と量を明らかにすることを目的としている。初年度は、マレーシア・サラワク州の異なるタイプの森林、油ヤシ栽培下、サゴヤシ栽培下にある泥炭計16土壌について、腐植化の進んだ腐植物質を検出するためにフミン酸の抽出とエタノール-0.1 M NaOH系を用いた分別沈殿を行った。また、3種の異なるタイプの森林土壌について、ベンゼンポリカルボン酸(BPCAs)法用いてブラックC含量を推定し、25oC・pH未調整を対照として35oCまたは25oC・pH7の条件で室内培養を行って分解速度の変化を調べた。
分別沈殿法によるフミン酸の分画では、中程度に腐植化が進んだB型が最大で30%程度検出されたが、腐植化が最も進んだA型はいずれの土壌からも検出されなかった。ブラックC量はいずれの森林土壌でも含有量は低く、全Cの1%未満であった。また、室内培養実験では、温度(35oC)とpH(7.0)はいずれも分解速度に対して正の影響を示し、pHの影響がより大きかったが、その程度は試料によって異なることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、1年目には、各種土地利用下の熱帯泥炭土壌の採取と前処理、それに続く難分解性腐植物質の検出・定量、ベンゼンポリカルボン酸(BPCAs)法によるブラックCの定量および室内培養による有機物分解を予定していた。これらのうち、腐植物質の分析と培養実験は着々と進めているが、ブラックCの分析は途中でBPCAsを測定するためのGCが故障し、現在中断している。

今後の研究の推進方策

油ヤシ土壌、サゴヤシ土壌についてブラックC含量の測定を行い、培養実験における分解速度との関係を解析する。培養実験を継続し、残留フミン酸について分画を行い、分解速度と腐植化度との関係を解析する。フミン酸の分画を行う試料を増やし、森林タイプ・土地利用との関係を明確にする。また、培養前後の試料について太陽光シミュレーターを用いて光耐性有機Cの定量と定性を行い、分解速度との関係を解析する。

次年度使用額が生じた理由

主として、ブラックC含量の測定に用いていたガスクロマトグラフが故障し、試料調製をストップしたことによる。

次年度使用額の使用計画

新しいガスクロマトグラフの購入目処が立ったため、未測定試料について当初の予定通りブラックC含量の測定を行うための人件費および必要な薬品類、ガラス器具類、ガス類の購入に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] Tropical Peat Research Laboratory(マレーシア)

    • 国名
      マレーシア
    • 外国機関名
      Tropical Peat Research Laboratory

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公開日: 2017-01-06  

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