研究課題
リンパ節において転移を増強する前転移ニッチェがPG依存性に形成されるか否かを調べた。COX-2陽性のDCsの所属リンパ節への集族と機能を、DCsの遺伝子改変により明らかにした。1.前転移ニッチェ成立を制御する分子細胞機構の解明と治療への基盤的研究を進めた。既知のケモカイン系に加え、新規調節因子の特定も試みた。肺がん細胞の縦隔リンパ節転移モデルにおいて、転移成立前にリンパ節の類洞に面した実質組織でシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の誘導が樹状細胞(DCs)においてかかり、COX-2依存的にがんリンパ節転移が増強すること、加えてDCsの同部位へ集族も COX-2依存的であることが判明した。COX-2阻害ががんリンパ節転移の抑制に有効であることが期待される。面白いことに、骨髄から分離培養したDCsを静注すると、投与後1~2日のごく早い時期から静注したDCsが所属リンパ節のsubcapsular領域にPG依存性に集族することが判明した。2.前転移ニッチェ成立に関わる分子細胞機構に立脚した小分子化合物等による薬物治療のアプローチを検討した。COX-2阻害薬、EP3拮抗薬が有望であった。3.前転移ニッチェ成立に役割を持つ細胞、分子を対象に、遺伝子改変細胞を作成治療効果を判定する準備を整えた。具体的には、所属リンパ節転移モデルを確立し、前転移ニッチェ形成のリンパ節におけるPG系、ケモカイン系の発現と役割の解析を行った。ニッチェ形成に関わる細胞群の動態を評価した。マウス骨髄から採取分化させた樹状細胞に、レンチウイルスベクターを用いて標的遺伝子を導入する、あるいはノックダウンすることにより遺伝子改変DCsを作成した。今後、腫瘍接種マウスにこれらの遺伝子改変DCsを投与し、PG受容体、ケモカイン等を標的としてニッチェ形成制御の治療効果を評価する予定である。
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