研究実績の概要 |
自然リンパ球ナチュラルヘルパー(NH)細胞は、腸間膜などの脂肪組織に存在するリンパ球集積Fat-associated lymphoid cluster(FALC)に存在する新規のリンパ球として見出された。その後、肺や皮膚、腸管などの非リンパ組織にNH細胞が存在することが明らかってきた。しかし、各組織のNH細胞は、サイトカイン産生能やサイトカイン応答性に差異があることが見出されてきたが、その機能の違いを何が制御しているかは明らかとなっていない。FALCの存在が明らかとなってきたことから、各組織においてもFALC様の微小環境ニッチが存在することが想定され、その微小環境ニッチが、NH細胞の機能を規定しているのではないかと考えた。そこで、本研究では、各組織における微小環境ニッチの存在を検証し、NH細胞の機能を規定する制御機構を明らかにする。本年度は、肺、腸間膜、腸管におけるNH細胞の遺伝子発現解析を行い、各臓器において機能的違いが存在するかを検証した。腸管NH細胞においてIL-4,IL-6,IL-13と言った2型サイトカインの発現が顕著に高い一方、肺NH細胞では、これらのサイトカインの発現が低かった。またサイトカイン受容体では、IL-33受容体は腸間膜NH細胞で発現が高いが、腸管NH細胞ではIL-33よりもIL-25に対する受容体の発現が高かった。このことは、NH細胞が存在する場所に応じて機能を変えていることを示唆しており、微小環境ニッチの存在の可能性を示唆している。
|