研究課題/領域番号 |
15K15446
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
籏野 健太郎 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50228475)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ホウ素中性子捕捉療法 / BNCT / ポジトロン断層法 / PET / フッ素 / フッ素-18 / 標識合成 / 分子イメージング |
研究実績の概要 |
次世代の放射線治療として期待される中性子捕捉療法(BNCT)の普及、高度化にあたり、がん細胞選択性を高めた新規ホウ素製剤の開発は必須である。本研究は新世代ホウ素製剤のscaffoldとして期待されるcarborane類をフッ素-18で標識することで、近年進歩の著しい分子イメージング技術による生体内動態の検討を実現し、薬剤開発の効率化を図ることを目的としている。本研究が達成されれば、小動物用ポジトロンカメラ(PET)による前臨床試験とともに、ヒトを対象として探索的臨床試験が可能となり、種差やがん種の差に煩わされることなく、新世代ホウ素製剤の適用可能性を探ることが出来るようになり、薬剤開発が飛躍的に加速すると考える。 carborane類の標識を行うためにフッ素-18標識分子状フッ素(18F2)の製造法の最適化を行った。安定同位体である酸素-18を濃縮した酸素ガス(18O2)にサイクロトロンで加速されたプロトンビームを照射しフッ素-18を製造した。18O2を冷却容器に回収したのち、ターゲット容器に分子状フッ素/アルゴンの混合ガスを導入し、2度目のプロトンビーム照射を行うことで同位体交換を行い、18F2を製造した。製造の諸条件を最適化した。混合ガスの濃度を0.3~1%に調整したところ1%で良好な回収率が得られることがわかった。得られた18F2を用いて18F-fluoro-borono-phenylalanine(FBPA)を製造したところ、この18F2が適当な比放射能を持っていることがわかり、さらなる標識合成を行う見通しが立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度はフッ素-18標識分子状フッ素(18F2)の製造条件の最適化を目的とした。この目的は達成された。
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今後の研究の推進方策 |
27年度に最適化したフッ素-18標識分子状フッ素(18F2)を用い、carborane類の合成を検討する。18F2をcarborane類の溶液に導入し、反応を行う。反応生成物はTLC、HPLCで分析を行う。放射能の減衰後、化学構造の同定を行い標識位置を明らかにする。生体分子に導入するprosthetic groupを持つフッ素-18標識carborane類の製造を検討し、新規BNCT製剤開発の可能性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費・謝金が発生しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は物品費に充当する。
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