研究課題/領域番号 |
15K15583
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
齊藤 源顕 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (60273893)
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研究分担者 |
清水 孝洋 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (00363276)
東 洋一郎 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (80380062)
清水 翔吾 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (90721853)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 硫化水素 / 膀胱 / 前立腺 / 硫化水素合成酵素 |
研究実績の概要 |
【目的】硫化水素(H2S)は神経伝達調節、平滑筋弛緩、細胞保護等多彩な生理作用を有する事が知られている。下部尿路組織においては、ブタ膀胱頸部に対するH2Sの弛緩作用が報告されており、我々は、H2S供与薬が用量依存的にラット膀胱及び前立腺平滑筋を弛緩させる事をorgan bath studyにより明らかにした。生体内のH2SはL-Cysを基質とし、CBS、CSEまたはMPSTといった酵素群により生合成される。またMPSTによるH2S 生合成にはCATが必須である。加えて近年、D-システインを基質とした、DAOが関与するH2S生合成経路も報告されている。本研究では、膀胱及び前立腺において内因性にH2Sが産生される可能性を検証するため、両組織における各酵素の発現レベルを解析した。 【方法】Wistar系雄性ラットより膀胱頂部(BL-D)、膀胱三角部(BL-T)、前立腺の腹葉(PR-V)及び背外側葉(PR-D)を摘出した。これら組織における各H2S合成酵素の発現レベルはリアルタイムPCR法及びウエスタンブロット法により解析した。 【結果】mRNA及びタンパク質レベルにおいて、CBS発現は前立腺においてのみ観察された(部位間の発現レベル:PR-V>PR-D)。一方、MPST及びCATの発現はいずれの組織・部位でも認められた。MPSTは部位間の発現レベルに差が見られた(PR-D>PR-V>BL-D=BL-T)が、CATでは有意な差はなかった。これに対し両組織におけるCSE及びDAOの発現は検出されなかった。 【結語】ラット膀胱及び前立腺においてH2S生合成酵素群の発現が確認された事から、H2Sが両組織における内因性の弛緩因子として機能している可能性が示唆された。
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