研究課題
脳は運動野,感覚野など司る機能と領域が分かれている。さらに運動野においても手を司る領域,足を司る領域と機能局在が細分化されている。そのため,運動野においても脳梗塞による虚血部位により,その出現する障害の程度やリハビリテーション予後が異なることを臨床的に経験する。そこで我々は平成27年度,PIT法を用いて運動皮質の中でもより限局的に脳梗塞を誘導できるモデル動物の作出に成功した。平成28年度は,限局的脳梗塞モデル動物における運動障害および運動負荷後の運動機能の変化を動画解析ソフトを用いて評価した。その結果,モデル動物の歩行時の運動機能の障害を運動学的なパラメーターの変化として捉えることに成功した。モデル動物に課す運動負荷は,我々が着目する乳酸と関連があるとされる。そこで,モデル動物へ課す運動負荷の強度と血中乳酸値との関係を求め,運動負荷の意義について検討した。まず,運動負荷を段階的に増加させると同時にその時点での血中乳酸値を測定し乳酸性閾値の推定値を算出する方法を獲得した。それをもとにモデル動物の運動前,運動後の血中乳酸値を測定することで運動負荷量を示すことができるようになった。我々は,行動学的変化を及ぼす因子として皮質脊髄路軸索の回路網の再編成に着目した。そこで,皮質脊髄路の神経細胞が大脳皮質で異なる分布様式に変化するか逆行性トレーサーを用いて検証するとともに,皮質脊髄路の神経細胞の中に新たに誕生した神経細胞が含まれているかBrdUと逆行性トレーサーの二重標識を行い検証している。我々はトレーサーを注入後,脳組織透明化の技術を併用して脳組織を観察したところ,トレーサーの分布を三次元的に捉えることができた。BrdUと逆行性トレーサーの二重標識細胞を確認することができなかったが,BrdU陽性細胞も透明化処理した脳組織で捉えることができた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 5件)
The Journal of Physiological Sciences
巻: 67 ページ: 173-180
10.1007/s12576-016-0452-5
常葉大学保健医療学部紀要
巻: 7 ページ: 17-27