高齢者の嚥下障害の重症化の一つの原因であるサルコペニアの病態解明を目的として研究を行った。今回は、四肢骨格筋の廃用性筋萎縮に関連しているユビキチン・プロテアソーム系の筋萎縮分子機構に着目して、PGC-1a,FOXO3の測定および筋繊維の組織検査を行った。その結果、四肢骨格筋では、有意なPGC-1a高値、FOXO低値を認めたが、嚥下関連筋である下咽頭収縮筋および胸骨舌骨筋では有意差を認めなかった。筋繊維横断面積および筋繊維数は加齢群では若年群に比べて有意な低下を認めていた。四肢骨格筋と比べて、下咽頭収縮筋は加齢のみでの筋萎縮の影響は受けにくいことが示唆された。
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